さて、数回にわたり栄養についてお話しして参りましたが、今日は“睡眠”と“超回復法”がテーマです。
どんなに栄養バランスに気を付けても、睡眠がきちんととれていなければ何もかも台無し。それほど睡眠は大切です。
毎日同じ時間に寝て、同じ時間におきるように体内時計を固定することを心がけましょう。
“成長ホルモン”が睡眠中に分泌されることはよくご存知だと思います。
成長ホルモンは、体を成長させるだけではなく
・余分な脂肪を分解する
・記憶を定着させる
・細胞レベルで体の修復する
と、体にとっては無くてはならないホルモンです。
睡眠中に成長ホルモンを分泌させるために必要な条件は、
・日中に強度の高い運動をすること
・血糖値が低い状態であること(夜ごはんで糖質をとりすぎないこと)
・アルギニン(アミノ酸の一種)が体内に十分に満ちていること。
※アルギニンは鶏肉、豚肉、牛肉、マグロ、その他魚介類、豆、卵、乳製品、のり、ナッツに含まれています。バランスがとれた食生活をしていれば特に心配するはありません。
・ビタミンB 3(=ナイアシン)”代謝を促進するビタミン”が体内に十分に満ちていること。
※さば、まぐろ、あじ、鶏肉、豚肉、のりなどに含まれています。こちらもバランスの良い食事をしていれば特に心配する必要はありません
では逆に、成長ホルモンの分泌を減少させることは?
・ストレス、心配事
・甘い物のとりすぎ
・寝ないことが習慣化していること。深夜までゲームをして、朝学校に行く時間ぎりぎりまで寝ているなど。
せっかくの成長期に体のポテンシャルをつぶすような行動はきっぱりやめさせましょう。ここは保護者の頑張りどころ。
ではどれくらいの睡眠時間が必要なのか?
最低7時間。
あの、ウサイン・ボルトは12時間寝ているそうです。
寝ている間に体が修復されることを本能的に知っているのでしょうか。あの伸びやかな肢体と爆発的なパワーは睡眠が生み出しているのでしょう。
12時間は無理だと思いますがしっかり7時間寝て、能力を最大に発揮できる状態で日々の様々なタスクに臨みましょう。
それでは睡眠時間短いとどういう変化が体に起こるのか。
睡眠時間5時間以下の人対象の調査で明らかになった残念な事実。
・風邪にかかりやすくなる
・糖分の代謝が30~40%下がる(太りやすくなる)
・テストステロン(男性ホルモンの一種)が10~15%減り、スタミナが落ちる。
これを読んで自覚のある方は是非、生活習慣の改善に取り組んでください。
次は『超回復法』について。
毎日疲れに積極的にアプローチして、体を回復させ、疲れを翌日に残さないメソッドを二つご紹介します。
①“IAP呼吸法”(Intra-Abdominal pressure breathing)
②アイスヒート入浴法
この二つです。
最近耳にしたことがある方もいらっしゃるかも知れません。
ひとつずつ解説しましょう。
一つ目は“IAP呼吸法”(Intra-Abdominal pressure breathing)
日本語にすると<腹腔内の圧力を高める呼吸法>
エンジェルスの大谷選手も行っている、話題の呼吸法です。
方法は簡単で、ひとことで言うと
『お腹の中の圧力を保ったまま呼吸をする。』
体の内部の圧力を高め、脊椎をカバーする筋力をつけ、体の中心を強くすることで疲労そのものを防ぎます。
詳しくはこちらの本をお読みいただくか、
こちらのサイトをご覧ください。
寝る前ベッドで2分間行うだけでもOK。
私自身も行っていますが、腰痛が改善。
疲れがたまった時に起こる股関節痛がほぼ消えました。
どんなに気を付けているつもりでも加齢とともに今までなかったような不具合が起きるのですが、IAP呼吸法導入後は劇的に改善しました。
痛みによるストレスを抱えて生活することがなくなったので、日々の仕事の効率も上がりました。是非お試し下さい。
もう一つは、『アイスヒートメソッド』
文字通り、体を『冷やして温める』方法です。
体を冷やしたり温めたりすることで血流を促し、体の回復を促す方法。体そのものの力を利用するので、とても簡単に出来るのがポイント。
例えば、けがをした場合、炎症を鎮めるために患部を24時間は冷やす。
24時間後から自然治癒のサイクルに入るので、血流をその部位に集めることにより治癒力をアップするという方法を使います。
けがをした部分だけではなく、体全体に行うのが“超回復法”としての『アイスヒートメソッド』です。
以下、本より抜粋します。
スーパー回復浴
1 |
350mlのペットボトル半分の水を飲む |
2 |
冷水シャワー(10~15℃)を1分浴びる |
3 |
お湯(36~37℃)に30秒つかる |
4 |
冷水シャワーを30秒浴びる |
5 |
3と4を10回繰り返す |
6 |
最後に冷水シャワーを1分浴びて終了。 |
7 |
350mlの水の残りを飲み干す |
※トータルで12分以上は行わない。入浴前後で水を飲むことを忘れない。
もしご近所に水風呂のある温泉施設などがあれば、『アイスヒートメソッド』を試しやすくなります。
冷水シャワーを浴びる代わりに水風呂へ。そして温泉と交互に入る。
実は『アイスヒートメソッド』の正式な方法はこちらの方で、効果的に体を冷やすことが出来るのでおすすめです。
効果として
・血管の収縮と拡張が来り返され、血流が良くなって疲労回復を促進。
・自律神経が効果的に刺激され、脳(中枢神経)の疲れが改善される。
お風呂から出たり入ったり、シャワーを浴びて寒いし、すごく面倒だと思われるでしょうが、是非一度ご自分でやってみることをおすすめします。
これから寒くなるしちょっと厳しいかなぁ、と想像して拒否反応を起こす前にやってみましょう!
日本人の場合、「湯冷め」という言葉もあるくらい、体を冷やす事にはとても抵抗があると思います。この際常識を一切取り払ってチャレンジしてみてください。
子供たち世代には疲労回復、私たち保護者世代には年々落ちていく代謝をアップするために効果的だと思います。
肩こりや腰痛が改善され、頭もすっきりします。
但し、心臓に負担がかかるのでご心配な方はやめておいてください。健康な方もご自分の体調を考慮しつつ自己責任で行ってください。
さて、まとめです。
・栄養バランスのとれた食事
・『アイスヒートメソッド』で疲労回復入浴
・決まった時間に就寝、起床。睡眠時間は最低7時間。
こうしてみると、全寮制の強豪校が日々行っていることと同じ。
家庭では完璧には出来ないとしても、なるべく良い環境を整えてあげることが子供たちのパフォーマンスを上げます。
以上のことが生活習慣になるまでしっかり繰り返しましょう。
最後に
予測身長の公式をご存知ですか?
子供たちが潜在的に到達しうる身長が計算できる公式です。
男子= (両親の身長の合計+13)/2+2
女子= (両親の身長の合計−13)/2+2
なんだ、結局DNAで決まってるんじゃないと、判断するのは早計。
我が家の息子の場合、182cmの予測身長に対し、現在186cmです。まだ16歳になったばかりなのでもっと伸びるかも。
上記公式にはありませんが、追加すべき項目があります。
±環境要因(食べ物+睡眠+運動)
環境要因だけはコントロールが効く部分です。今日説明したことを実践し、保護者の皆さんの努力で、DNA上の伸びしろの最大限まで伸ばしてあげましょう!
子供は目を離すと好きなものしか食べませんし、オンラインゲームやSNSにハマってなかなか寝ません。
軌道修正してあげないと楽な方向に流れがちです。子供のためでもありますが、保護者の皆さんご自身が実践することにより、家族全員の健康状態が改善します。今日ご紹介した方法をお試しください。
45歳以上は成長ホルモンの分泌量が激減するとのこと。
45歳といえば仕事では働き盛り、家庭では子育ての忙しさのピーク。ただでさえ減り続ける成長ホルモンが、日々のストレスや睡眠不足でさらに減り、結果として体調に反映される。
“中年の危機”や“中年太り”の正体が明らかになった気がしました。
成長ホルモンは別名アンチエイジングホルモン。
生活習慣を見直して、若さを保てるように頑張りましょう~!
次回は効率よく栄養を摂取するための食材選びと調理法をご紹介します。
お楽しみに!
参考文献